なんとなく体に良いと思っていた発酵食品ですが、種類はさまざま。自分の体やお肌の状態に合わせたうれしい働きの使い分けのコツを解説します。
発酵食品のうれしい働き。基本の3つ
納豆や味噌(みそ)、漬物、塩辛、醤油(しょうゆ)、酢などは、私たちの食事に欠かせない身近な発酵食品ですが、これらの食品には、基本的な3つの働きがあります。
- 消化吸収を助け、よりうま味を増す働き
- 栄養価を高める働き
- 食品の保存性を良くする働き
この基本の働きに加えて、美白や美肌、抗酸化作用、ダイエットサポートなどの働きも期待できます。そんな発酵食品のうれしい働きや、働きをさらに生かすお料理のコツご紹介します。
美肌のための発酵食品の調理法とうれしい働き
お肌をキレイに保つ発酵食品には下記のようなものがあります。
米の発酵でできるコウジ酸には、くすみの原因となるメラニン色素を抑える作用があると言われています。また、こうした作用が期待されるため、コウジ酸は化粧品にも使われています。味噌に含まれるイソフラボン類は、メラニンを生じさせる物質の働きを妨げることも分かっています。
納豆のネバネバに含まれているポリグルタミン酸は、肌自身の保湿効果を高める効果があると言われています。さらに、納豆には肌の代謝に関わるビタミンB群や、美肌に欠かせないタンパク質も豊富に含まれています。
ぬか漬けにはビタミンやミネラルをはじめ、腸内環境を整える乳酸菌や酵素が多く含まれています。腸内環境の悪化によって慢性的な便秘や疲労状態になると、新陳代謝や免疫機能が悪化し、肌荒れの原因となります。お肌をキレイに保つには腸内環境を整えるのも大切なポイントです。
美肌、美白にうれしい働きのある発酵食品は組み合わせて食べることで、おいしさがワンランクアップするだけでなく、期待できる働きもアップします。
食材の組み合わせをいくつかご紹介します。
味噌汁に酒かすをプラス
美白にオススメなのが、酒かす入りのみそ汁です。ここにお好みのお野菜を具材として入れれば、飽きずに美白生活が継続できますね。
バナナにヨーグルトをかけて
ヨーグルトの乳酸菌はそれ自体が腸内環境を整えてくれます。バナナに含まれるオリゴ糖は、腸内の善玉菌のエサとなりますので、組み合わせることにより便秘の改善や美肌力のアップにつながります。
エイジングケアにうれしい発酵食品の調理法と働き
シワやシミなどお肌の老化の原因となる活性酸素から肌を守り、エイジングケアを行うには、紫外線対策とともに、抗酸化物質を含む食品を取ることが大切です。
発酵食品には、多くの抗酸化物質が含まれており、エイジングケアが期待できます。大豆には、大豆イソフラボンという抗酸化物質が含まれ、大豆を発酵させて作られた味噌にはアスペラチンという抗酸化物質も含まれています。
エイジングケアに効果的な食材の組み合わせをご紹介します。
味噌+鮭+緑黄色野菜
味噌の大豆イソフラボンと鮭の抗酸化物質であるアスタキサンチン、緑黄色野菜の抗酸化物質βカロテンやビタミンCと組み合わせることでより肌の老化防止効果が期待できます。
ダイエットのための発酵食品の調理法と働き
ダイエットをサポートする代表的な菌とそれらが含まれる主な食材や調理法をご紹介します。
麹菌
麹菌は、消化を助け、うまみをアップします。また、腸内環境を整え、便秘の解消が期待できます。
〈主な食材〉味噌・醤油・塩麹・甘酒
乳酸菌は、タンパク質や脂肪を分解し、便秘予防が期待できます。また、腸内の善玉菌を増やして細菌や病原菌から体を守ってくれる働きもあります。
〈主な食材〉ぬか漬け・ヨーグルト・チーズ・キムチ
酢酸菌は、酢酸として体内に入りクエン酸に変わるので、疲労回復が期待できます。また、酢は内臓脂肪低下、血糖値上昇抑制が期待できる有用な発酵食品です。
〈主な食材〉酢
酵母菌は、糖質や脂質を分解するため、高血糖の予防が期待できます。また、腸内の善玉菌を増やすため、腸内環境を整えて便秘の改善が期待できます。
〈主な食材〉味噌・醤油・日本酒・ワイン・パン
ダイエットにうれしい食べ合わせの例としておすすめなのが、海藻の酢の物です。酢と整腸作用・血糖値上昇抑制作用のある食物繊維の組み合わせで、ダイエットが期待できます。
発酵食品は加熱せずに摂取することをお勧めしますが、加熱調理して菌が死滅してしまっても腸内の善玉菌のエサになります。また、発酵食品は含まれている栄養素がそれぞれ違うため、腸内の善玉菌を増やすには、多くの種類の発酵食品を日々こまめにとり入れることが大切です。
自分の体やお肌の状態に合わせて多様な発酵食品を積極的に取り入れてみてください。