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インタビュー

管理栄養士 浅野まみこ先生インタビュー

食べているのに体がバテて冷えるのはなぜ? 猛暑にこそ甘酒を

浅野まみこ(株式会社エビータ 代表取締役 
管理栄養士)

浅野まみこ先生

ビタミンB1不足が引き起こす夏バテ

冷麺、ざるそば、冷やしうどん、もちろん、きわめつけはソーメン! 夏の麺類オールスターです。喉越しが良く、暑くて食欲のなくなったときには、ついつい食べてしまうメニューです。美味しいですよね。夏だからこそ食べないと「損した気分になる」といって、毎日、ローテーションを組んで食べているなんていう方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、そんな方は、“夏バテ”や“夏冷え”に注意が必要です。

麺類を構成する炭水化物には、体のエネルギー源となる糖質が豊富に含まれていますので、たくさん食べれば夏バテ対策にはピッタリと思っている方も多いかもしれません。しかも、夏バテで食欲不振の時でも、冷やし中華やソーメンなら比較的食べやすいものです。

しかし、こうした炭水化物に偏った食事は、実は、だるさを引き起こす原因になっています。炭水化物は、エネルギーへ変換するときにビタミンB1が必要です。このビタミンB1は、肉や魚、卵などに含まれていますので、炭水化物だけではB1が不足し、その結果、代謝が滞り、倦怠感の原因となります。また、体内で糖質を分解するときに必要なビタミンB1を消耗して不足します。(糖質をエネルギーにスムーズに変えることができなくなります。)糖質の摂りすぎは、だるさや疲労感を引き起こす原因です。つまり、食べているのに夏バテになりかねないのです。

体調不良の女性

糖質が水をため込み夏冷えに

さらに糖質には、水分をため込む性質があり、むくみの原因にもなります。このむくみは、体を冷やし、代謝を下げ、倦怠感を助長させるとともに、夏冷えをさらにひどくする原因にもなります。
つまり、炭水化物ばかり食べていると夏冷えになりやすくなってしまうのです。

暑さで疲労が溜まりやすい夏場に、食欲がないからと炭水化物中心の食事を摂ると、倦怠感が生まれ、余計疲労を感じやすくなります。また、糖質過多によるむくみや冷え、冷房の聞いた部屋でさらにカラダを冷やすことで、ついには自律神経も乱れ、深刻な夏バテを引き起こす原因になるわけです。その結果、さらに食欲が落ち…、という悪循環を繰り返してしまうのです。

ビタミンB1を豊富に含むおススメの食品は―

ビタミンB1は、肉や魚、卵、大豆製品などタンパク質が含まれる食材に多く含まれます。ですので、夏場は、麺類など炭水化物だけではなく、こうした食材を多く含むおかずを意識して食べることが大切です。特に多く含まれるものとして、豚肉やうなぎ、大豆などがありますが、食欲がなくてあまり食べられないというときには、甘酒もおススメです。甘酒のうち麹で作った甘酒は、発酵食品であるほか、ビタミンB1を始め、B群などのビタミン、ミネラルが豊富に含まれていますが、同時に糖質も含んでいますので一石二鳥というわけです。

甘酒

実は、私は大の麹好き、甘酒好きです。甘酒は、子どもの頃から好きでしたが、塩麹が流行り出した5年くらい前からマイブームとしてのめりこみ、いまでは自分で麹と酒粕を取寄せ、発酵させて甘酒を作ったりもしています。

もうひとつ、甘酒ではまっていることがあります。それは、いろんなものと甘酒をミックスさせること。牛乳、豆乳、レモン、生姜、りんご、みかん、炭酸などなど、甘酒は驚くほど、何にでもよく合います。特に、酸味のものと合うのは甘酒の強みです。甘さが冴えてスッキリします。おススメは、甘酒を炭酸で割りレモンを絞ったもの。甘酒による効率的なエネルギー補給とともに、レモンに含まれるクエン酸の疲労回復効果も期待できるからです。今年は、こうしたひと工夫で甘酒を美味しく飲んで夏を乗り切りましょう!

浅野まみこ先生

浅野まみこ(株式会社エビータ 代表取締役 / 管理栄養士)

1997年 東京家政大学家政学部栄養学科を卒業。同年に、管理栄養士国家資格を取得し、管理栄養士としての活動をスタート。集団給食、病院給食業務を経て、770床の総合病院をはじめ、臨床栄養を実践。約4年間の病院勤務。病院時代から専門としていた糖尿病を研究テーマとし、その後企業や病院でのカウンセリング専門業務を実施。行動変容をベースとした栄養カウンセリングのプログラムを確立。2007年に独立。2008年株式会社を設立。栄養指導の件数は、18000件以上になる。カウンセリング業務専門会社の予定が、レシピ開発なども人気となり、現在は、カウンセリングサービス、料理・商品開発、講演、コンサルティングと多岐にわたる。TBS名医のTHE太鼓判準レギュラー、NHKおはよう日本をはじめ、メディアに多数出演。夕刊フジ水曜日に連載を持つ。著書に「『コンビニ・外食』で健康になる方法」(草思社)、「血糖値を下げる夜9時からの遅ごはん」(誠文堂新光社)などがある。

※記載内容は、取材対象者及び筆者の個人的な見解であり、特定の商品または発酵食品についての効果効用を保証するものではありません。

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