“発酵王子“ 伏木暢顕(ふしきのぶあき)
1975年東京生まれ。醸造料理人であり、日本の発酵食文化伝承人。発酵教室の講師としても活躍し、現在の「発酵食」、「麹」人気の立役者の一人。イタリアン、和食など料理の道を極めること20余年、食材を全く別のものにかえてしまう、不思議な麹の力に惚れ込み、独学で麹について学ぶ。メディア出演も豊富で、「発酵王子」として親しまれている。
和食に欠かすことのできない発酵食
日本の朝ご飯は、ぬか漬けや納豆、さらに調味料も味噌や醤油、酢など発酵食品だらけ。朝ご飯のときに、ブドウ糖が豊富で、美白効果の期待されるコウジ酸が含まれる甘酒を飲む方もいらっしゃいます。海外には、体には良いが美味しさはほどほどという発酵食もありますが、日本の場合はどの発酵食も美味しいのが特長です。
食べるときには、自分に合う発酵食を選ぶことも大切。人によって腸内細菌は異なるため、その人に合う発酵食と合わない発酵食があるんです。食べてお腹を下してしまう場合は、合わない証拠。ヨーグルトが効果的な方もいれば、納豆が効果的な方もいる。ぬか漬けで調子がよくなる方もいれば、甘酒ですっきりする方もいます。数ある発酵食のなかから、自分の腸内細菌に合う微生物を探すのは、大事な作業かもしれませんね。
なんでも食べすぎはNG いろんなものを少しずつ
いくら発酵食が体にいいからと言って、食べ過ぎはよくありません。昔から日本人がそうであったように、食事はいろいろなものを少しずつ食べるのが良いのだと思います。その中にいくつか発酵物があれば、より効果的ではないでしょうか。納豆には納豆にしかない良さがありますし、ぬか漬けにはぬか漬けにしかない良さがあります。それらの良さを少しずついただくのが基本です。薬ではないので、毎日必ず食べなければならないわけではなく、無理の無い範囲で気づいたら食べるくらいでちょうどいいのだと思います。
赤ちゃんの腸内細菌にも発酵がいい影響を与える
私の自宅にもぬか床があって、ぬか漬けをつくっています。息子が生まれたときには、嫁に「ぬか床を混ぜろ」と言っていました(笑)。その理由は、ぬか床を混ぜることでお母さんが良い菌を纏い、その良い菌が肌を通じて、赤ちゃんに移るからです。つまり、お母さんの菌が、赤ちゃんの一生の腸内細菌に影響を与えることになる。赤ちゃんのためにも、お母さんには発酵食を大切にしてもらいたいですね。
※記載内容は、取材対象者及び筆者の個人的な見解であり、特定の商品または発酵食品についての効果効用を保証するものではありません。