大豆由来のデイリーフード「テンペ」
テンペは大豆を原料とした発酵食品で、インドネシアでは年間70万トン近く消費されている国民食です。良質な植物性タンパク質をはじめとした栄養価が高く、食べごたえがあることから、ベジタリアンを中心に肉の代用品としても人気がある食材です。
スーパーフードやオーガニック食品、菜食などに関心がある方なら、すでに料理に取り入れているかもしれません。
最近では百貨店の豆腐売り場や、こだわり系のスーパーなどでの取り扱いも増え、その名前を耳にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
「毎日食べたい大豆由来の発酵食品」といえば、日本人にとって最もなじみ深いのは納豆。納豆菌が発酵を行う納豆とテンペはその製法も似ており、比べられることも多いです。しかし実は、扱いやすさでいうとテンペの方が上。
知れば知るほど親しみやすく、気軽に取り入れやすい発酵食品なのです。
ネバネバせず臭いも少ないので食べやすい
蒸したり煮たりした大豆に納豆菌を繁殖させると納豆になりますが、テンペ菌を繁殖させるとテンペになります。
テンペ菌はバナナやハイビスカスの葉にすみついている白カビの一種で、インドネシアの伝統的な製法ではゆでた大豆をバナナの葉で包んで発酵させてつくります。
テンペ菌の白い菌糸が大豆を包んで板状に固まるとテンペのできあがり。テンペ菌を手に入れたら、自家製のテンペを簡単につくることができます。
テンペは納豆とは違ってネバネバと糸をひかず、独特の臭いもないので、納豆が苦手な人でも抵抗なく食べられる食材です。
コレステロールゼロだからダイエットにも!
テンペには良質な植物性タンパク質がたっぷり。 他にもリノール酸や食物繊維、天然アミノ酸の一種であるGABA、ビタミンB群などが豊富に含まれた発酵食品です。イソフラボンのような大豆由来の栄養素にプラスして、発酵によってさらに栄養素が増して消化吸収もしやすくなっています。
食物繊維で腸内環境を改善、イソフラボンの抗酸化作用でエイジングケアにも効果的で、抗ストレス作用があるといわれるGABAでイライラを抑える効果も期待できます。
しかもコレステロールと塩分がゼロなので、ダイエット向き! 豊富な食物繊維のおかげで腹持ちもよく、便秘も改善。ふだんの食事の肉をテンペに置き換えることで、無理なく美容と健康をサポートできるというわけです。
どうやって調理したらいいの?
そんな良いトコばかりのテンペですが、インドネシア起源の食材だからエスニック料理で使われても、和食や家庭料理には不向きなのでは…?
そんなことはありません!
テンペは淡白な味なので、どんな料理にも取り入れやすいところも大きな魅力です。
板状になったテンペは必要な分だけカットして使えるので、納豆と比べるとかなり扱いやすい食材です。
食感は栗に近く、淡い味にほのかな甘みを感じさせます。豆が好きな方なら、その味わいを生かして、生のままのテンペを薄くスライスしてしょうゆをつけて刺身のように食べてもいいでしょう。
しっかり味つけをして白ごはんといっしょに
生のままでは抵抗があるという方には、肉のように火を通して調理するのをおすすめします。
まずは、唐揚げやフライなど、衣をつけて揚げる調理法。
ガーリックソテーや照り焼きのような濃い目の味つけをすると、白ごはんと相性のよい主菜になります。また、ハンバーグの種をこねるときに、半分をテンペにして混ぜ合わせるとカロリーを抑えることができます。
ベジタリアンやビーガンの方は高タンパク食材であるテンペを料理に活用しています。そこにはテンペの食べ方のヒントが多くあります。肉の代用品として使うのではなく、大豆ならではのほっこりした食感や甘みも楽しみながら、効果的に取り入れていくのが良いでしょう。
調理するのが面倒なときは、ごはんを炊くときにテンペのかけらを炊飯器に加えてみてください。大豆の甘みがほのかに広がります。テンペ料理と難しく考えず、いつもの料理にひとかけら足せば、味わいにコクが増します。
ヘルシーで美容にも効果バツグンなテンペ。気軽に食卓に取り入れてみては?
※記載内容は、取材対象者及び筆者の個人的な見解であり、特定の商品または発酵食品についての効果効用を保証するものではありません。