糸引き納豆は日本オリジナル
納豆と言えば、ねばねばと糸をひくねばりと、独特な香り。好き嫌いがわかれやすいものの、日本の発酵食品の代表格ともいえる日本人になじみの深い食品です。
糸をひく納豆は日本独自のもので「糸引き納豆」と呼ばれます。これに対して、糸をひかず塩分があるタイプが「塩辛納豆」です。
ここでは日本独特の「糸引き納豆」について話を進めます。
納豆菌の生命力は最強レベル
納豆は、大豆を水でもどして蒸したものに、納豆菌を吹き付けて発酵させてつくります。この納豆菌は繁殖力が大変強く、その威力は1個の納豆菌が15時間で10億個にも増えるほど。発酵の開始からわずか20~22時間の短期間で納豆が完成します。
納豆菌は熱にも寒さにも強く、過酷な環境でも死滅しにくいのが特徴。その生命力は微生物界でも最強クラス! ずばぬけた生命力を持つ納豆菌は、栄養面でも大豆に大きな変化をもたらします。
納豆になって栄養価がアップ
たんぱく質が豊富なのが納豆の栄養価の特徴。全体の約17%をたんぱく質が占めています。
発酵の過程で、血液をサラサラにするナットウキナーゼや、骨を丈夫にするビタミンKなど、もともと大豆に含まれていなかった成分が生成されるなど、納豆へと変身することで栄養成分がランクアップ!
また、代謝を活性化させるビタミンB2はなんと5~10倍に増加! 大豆そのものよりも発酵させて納豆にした方が、体内への消化吸収がスピーディーに行われるようになるのです。
元来、粗食であった日本人にとって、納豆は栄養たっぷりのスーパーフードだったのです。
納豆が藁づとに入っているのはなぜ?
昔は、納豆といえば、藁を束ねた藁づとに入っているものでしたが、これには理由がありました。藁には納豆菌が多く生息し、藁のなかに蒸した豆を入れておくだけで、納豆が比較的簡単につくることができたのです。
今日では培養した納豆菌をまぶした大豆をケースに入れて、ケースの中で発酵させるのが主流になっています。
朝の「納豆と味噌汁」は江戸時代から
江戸時代中期以降、納豆は江戸っ子たちに定着し、毎日納豆売りが荷を担いで売り歩いたそうです。
江戸に勤めていた和歌山藩士が書いた『江戸自慢』には「からすの鳴かぬ日はあれど、納豆売りの来ぬ日はなし」という記述があり、納豆が浸透していた様子がわかります。
「納豆と蜆(しじみ)に朝寝おこされる」という川柳からは、朝ごはん用に納豆が売り歩かれていたことが伝わってきます。
味噌汁もこの時代には定着していたので、納豆と味噌汁という発酵食品の組み合わせパターンは、きっとこの頃にはすでにできあがっていたのでしょう。
※記載内容は特定の商品または発酵食品についての効果効能を保証するものではありません。